1. ビジネスシューズで重要な靴選びのマナー

ビジネスの場では、足元からも信頼感や清潔感が伝わります。スーツとの相性だけでなく、相手に与える印象を考えた靴選びが必要です。
ここでは、スーツやオフィスカジュアルでの通勤に適したビジネスシューズに必要とされる基本的なマナーをご紹介します。

• 1-1｜黒が基本

  ビジネスシーンでは、フォーマル度の高い黒のシューズが最も適しています。黒はどのような色のスーツにも合わせやすく、格式のある場面でも違和感がありません。
  規定が厳しくない業界ではネイビーやグレーといった落ち着いた色合いの靴でも問題ないケースもありますが、最初は黒を選ぶのが無難です。

• 1-2｜シンプルなデザイン

  ビジネスシューズでは、過度な装飾を避けるのが基本です。リボンや金属のパーツ、強い光沢のある素材は華美に見えるため、職場にはあまりふさわしくありません。
  特に新入社員や営業職など、社外の人と接する機会が多い場合には、より落ち着いたデザインのシューズが求められます。装飾性を控えたシンプルなパンプスやローファーなどが、ビジネスシーンには適しています。

• 1-3｜足の露出は最小限に

  ビジネスの場では、つま先とかかとが完全に隠れているデザインが基本です。
  つま先が開いたオープントゥやかかとが見えるバックストラップタイプは、カジュアルな印象が強く、職場での着用にはおすすめできません。特にサンダルやミュールのような形状の靴は、職場のTPOに反する可能性があるため避けましょう。
  きちんと感を損なわないためにも、肌の露出は最小限にとどめた靴を選ぶことが大切です。

• 1-4｜お手入れもマナーの一部

  靴が汚れていたり、ソールがすり減っていたりすると、それだけでだらしない印象を与えてしまいます。黒の靴は特にホコリや傷が目立ちやすいため、こまめな手入れが欠かせません。
  日々のブラッシングや磨きを習慣づけることで、美しい状態を長く保つことができます。外出先で靴を脱ぐ場面がある場合にも、清潔な足元は信頼感につながります。

• 1-5｜歩行音にも配慮が必要

  コツコツと響く歩行音は、周囲への配慮に欠ける印象を与えることがあります。特に静かなオフィスや来客対応時には、靴音が気になる場面も少なくありません。
  歩行音を抑えるラバー素材のヒールや、静音性の高いソールを選ぶことで、スマートな印象を保てます。
  ヒールのゴム部分がすり減って音が響きやすくなった場合は、早めに修理や交換を行うのが理想です。

2. 疲れないビジネスシューズの選び方

毎日の通勤や外回り、立ち仕事が多い方にとって、靴の快適さは業務効率にも影響します。
見た目だけでなく、疲れにくさを重視してビジネスシューズを選ぶことが、体への負担を減らし、1日を快適に過ごすためのポイントになります。

• 2-1｜インソール

  足裏を優しく支えるインソールは、長時間の着用でも疲れにくくするための重要な要素です。
  特にかかとや土踏まずにフィットする形状の中敷きは、体重のかかるポイントを分散し、膝や腰への負担も軽減してくれます。
  靴選びの際は、柔らかい感触のインソールが入っているかチェックしておくとよいでしょう。

• 2-2｜ヒール構造

  ヒールが高すぎる靴は、足元が不安定になりやすく、筋力を使うため疲れやすくなってしまいます。
  理想は3〜5cm程度の低めかつヒール部分が太めのビジネスシューズです。太いヒールの靴は歩行時の安定感があり、初心者でも安心して履くことができます。見た目と機能性のバランスが取れた靴を選ぶようにしましょう。

• 2-3｜足の形に合わせる

  自分の足型に合った靴を選ぶことで、圧迫感や違和感を減らし、快適な履き心地を得ることができます。足先に適度なゆとりがあり、足幅や甲の高さに無理なくフィットする靴は、長時間の使用にも耐えやすくなります。
  まずは自分の足が「エジプト型」「ギリシャ型」「スクエア型」どれにあてはまるのかチェックしましょう。

  • ・エジプト型
    エジプト型は日本人に最も多く見られる足型で、親指が一番長く、第二趾から小指にかけてなだらかに短くなるのが特徴です。この足型には、つま先が斜めにカットされたオブリークトゥの靴が自然にフィットしやすいとされています。
    エジプト型の方は指先にゆとりを持たせた靴で圧迫を避け、長時間の使用でも快適に過ごせるのが理想的です。

    

  • ・ギリシャ型
    ギリシャ型は、親指よりも人差し指が長い足型で、足先の中央がやや突き出たようなシルエットになります。
    アーモンドトゥやポインテッドトゥといった、シャープで中央に向かって細くなるデザインが合いやすく、見た目にもバランスよくまとまります。
    

    

  • ・スクエア型
    スクエア型は、親指から小指までの長さがほぼ揃っており、つま先がまっすぐに近いラインを描くのが特徴です。
    この足型には、スクエアトゥやラウンドトゥなど、つま先に広がりがあるデザインが適しています。指が並んで当たりやすい構造のため、圧迫感を避けるうえでも足先にゆとりのある形が望ましく、長時間の着用にも適しています。

    

• 2-4｜軽量素材

  靴そのものの重さは、知らず知らずのうちに足への負担となります。
  軽量素材を使ったシューズであれば、移動や階段の昇り降りもラクになり、体の動きに自然とフィットします。
  軽さと安定感を両立させた靴を選ぶことで、1日を通して疲れにくい足元を実現できます。

• 2-5｜通気性

  長時間履き続けるビジネスシューズでは、蒸れや湿気が気になる方も多いのではないでしょうか。通気性の良い素材や、メッシュ構造を取り入れたデザインは、足の快適さを保つうえで非常に効果的です。
  不快感やにおいを防ぐだけでなく、衛生面の観点からも通気性は重要なポイントです。

3. ビジネスシューズのお手入れ方法

ビジネスシューズを長い期間きれいに保つためには、素材に応じた正しいお手入れが欠かせません。
ビジネス向けには革製のシューズを選ぶのが最適ですが、本革と合成皮革では性質が異なるため、それぞれに合ったケアを行う必要があります。

• 3-1｜本革のお手入れ

  本革は通気性が高く、履くほどに足に馴染む魅力がありますが、乾燥や湿気に弱いため、こまめなケアが必要です。
  まずは馬毛などの柔らかいブラシでホコリや汚れを取り除き、その後、革専用のクリームで保湿を行います。クリームは柔らかい布に少量取り、円を描くように丁寧に塗り込むと、ツヤと柔らかさが保たれます。
  万が一、雨に濡れた場合は新聞紙を中に詰めて水分を吸収させ、風通しの良い日陰で自然乾燥させましょう。ドライヤーや直射日光による乾燥は、革のひび割れや硬化の原因になるため避けることが大切です。

• 3-2｜合成皮革のお手入れ

  合成皮革は汚れや水に強く、お手入れが比較的簡単なのが特長です。日常的な汚れは、柔らかい布で表面を軽く拭くだけで十分清潔に保てます。ただし、通気性が低いため、内部に湿気がこもりやすくなります。
  特に蒸れやすい夏場は、定期的に陰干しをして、湿気を逃がすことを心がけましょう。
  クリームやワックスは必要ありませんが、表面のひび割れを防ぎたい場合には、合成皮革専用の保護スプレーを使うのも一つの方法です。

• 3-3｜長持ちさせるためのポイント

  素材を問わず、ビジネスシューズを長持ちさせるには、日常のちょっとした心がけが重要です。
  使用後はシューキーパーを入れて型崩れを防ぎつつ、靴の中に残った湿気をしっかり取り除きましょう。
  また、毎日同じ靴を履き続けると、素材への負担が蓄積されやすくなります。できれば1日おきに履く靴を変えるローテーションを取り入れることで、シューズの寿命を延ばし、清潔な状態を保ちやすくなります。

4. 機能性とマナーを兼ね備えた一足を選ぶ

ビジネスシューズは黒でシンプルなデザインが基本です。露出を控え、歩行音や清潔感にも気を配ることがマナーです。
さらに、インソールや通気性、軽さなどに注目して選べば、長時間の移動でも快適に過ごせます。
また、素材に合ったお手入れを習慣化することで、靴の印象も長持ちします。自分に合った靴を選び、快適に毎日を過ごしましょう。