1. ブラックフォーマルにおける靴のマナー

弔事・慶事などのフォーマルな場では、服装だけでなく足元のマナーにも気を配ることが大切です。
靴の色や素材、デザインにはいくつかのルールがあるため、基本的にはそれらを守って靴選びを行う必要があります。具体的にどんなマナーがあるのかチェックしてみましょう。

• 1-1｜「黒」が原則

  ブラックフォーマルでの靴選びにおいて、色は黒一択が基本です。
  茶色やグレーといった中間色、または明るい色は場にふさわしくなく、マナー違反とされることがあります。
  場の空気に調和し、故人や参列者に失礼のない装いにするためにシンプルで落ち着いた黒の靴を選ぶようにしましょう。

• 1-2｜マットな素材が基本

  本来、格式を重んじる場では「光沢のないマットな布製の靴」が最もふさわしいといわれていますが、現在ではシンプルな本革や合成皮革の靴でも問題ないとの認識が一般的です。
  ただし、エナメルのような強い光沢のある素材や、スエード、パイソン、リザードなどの動物を連想させる素材は避けるのがマナーです。

• 1-3｜デザインはシンプルに

  つま先やかかとが露出するオープントゥやバックストラップはカジュアルな印象を与えるため不適切です。また、リボンや金具などの装飾がついた靴も、華美な印象につながるため避けましょう。
  最も望ましいのは足をすべて覆うプレーンなパンプスです。

• 1-4｜ヒールは3〜5cm

  ヒールの高さにも注意が必要です。3〜5cm程度のヒールがもっとも適切でしょう。高すぎるヒールは華やかすぎる印象になり、逆に低すぎるとカジュアルに見えてしまいます。
  また、細すぎるピンヒールは不安定なうえに場にそぐわないため、安定感のある中太のヒールを選ぶのが無難です。

• 1-5｜中敷きは落ち着いた色で

  靴を脱ぐ場面がある場合、中敷きの色にも気をつけましょう。黒やベージュなどの落ち着いた色が好ましく、赤や金、柄のある中敷きは控えるのがマナーです。
  ブランド名やプリントが目立たないものを選ぶとより安心です。もし既に持っている靴の中敷きが不適切な場合は、黒やベージュのインソールを重ねて対処するのもよいでしょう。

2. ブラックフォーマルにおすすめの靴

ブラックフォーマルに最も適した靴は、装飾のないシンプルな黒のパンプスです。
つま先やかかとがしっかりと覆われたデザインで、履いたときに肌の露出が少ないものを選ぶのが基本とされています。素材はマットな革や布地が理想的です。
このようなパンプスは、冠婚葬祭だけでなく普段の通勤などにも対応できるため、一足持っておくと幅広く使える点も魅力です。「ふさわしい靴を持っていない」という場合は、今後のためにも一足買い足すことをおすすめします。

3. ブラックフォーマルにはNGな靴の特徴

ブラックフォーマルでは、礼節や場の空気にふさわしい装いが求められます。特に靴は見落とされがちですが、不適切な素材やデザインを選ぶと、印象を大きく損ねてしまうことがあるため注意が必要です。
ここではブラックフォーマルにおいて避けるべき靴の特徴を解説します。

• 3-1｜スエード、デニム素材など

  冠婚葬祭の場では、素材選びにも細心の注意が必要です。スエードやパイソン、リザードといった素材は殺生を連想させるため、マナー違反とされています。
  また、強い光沢を持つエナメル素材、デニムやメッシュなどカジュアルなイメージの素材もフォーマルな場にはふさわしくないでしょう。

• 3-2｜靴の形状が個性的すぎる

  つま先が極端に尖ったポインテッドトゥや、ボリュームのある厚底ソール、大胆なカットワークが入ったデザインは、個性が強すぎてフォーマルな装いと調和しにくくなります。
  例え色が黒であっても、個性的すぎると全体のバランスを乱す恐れがあるため注意しましょう。シンプルで控えめな形状の靴を選ぶことが大切です。

• 3-3｜パンプス以外のシューズ

  ブラックフォーマルにおいては、ブーツやスニーカー、サンダル、バレエシューズといったカジュアル寄りの靴は不適切とされます。
  パンプスに近い形であっても、足の露出が多いデザインや華やかすぎる装飾があるものは避けるのがマナーです。
  フォーマルな場には、つま先とかかとが隠れるプレーンな黒のパンプスが最適です。

• 3-4｜音が響きやすいヒール

  葬儀場のように静粛が求められる場では、歩くたびに大きな音が出る靴は避けたいものです。
  硬質なヒールや、床との相性が悪く音が響きやすい靴は、周囲の注意を引いてしまう可能性があります。消音性に優れたラバーソールや滑りにくい底材の靴の方が、場の雰囲気を損なわず安心です。

• 3-5｜手入れされていない靴

  どんなにデザインや素材がマナーにかなっていても、汚れや擦り傷が目立つ靴、踵がすり減ったままの靴ではだらしない印象を与えてしまいます。
  ブラックフォーマルでは、きちんと磨かれた清潔感のある靴を履くことが礼儀です。事前に手入れをし、気になる部分があれば事前にインソールの交換や補修を行っておくと安心です。

4. ブラックフォーマルは足元のマナーが重要

ブラックフォーマルには、黒でマットな素材、シンプルなデザインのパンプスが基本です。
ヒールは3〜5cmが適切で、中敷きの色にも配慮を行いましょう。スエードやデニムなどカジュアルな素材や、音の響きやすいヒールは避けることも大切です。
守るべきマナーが多いためつい歩きやすさは後回しになりがちですが、冠婚葬祭の場面では一日中動き回ることも多くなるため、できれば機能性を持った自分に合う靴を事前に選んでおくとよいでしょう。「まだブラックフォーマル向けの靴を持っていない」という方は、ぜひとも揃えておくことをおすすめします。